前立腺がん 泌尿器科専門クリニック 名古屋 金山

前立腺がんと切っても切れない病気として前立腺肥大症があります。
通常、前立腺がんは前立腺の外腺(前立腺の外側)から発生することが多いのに対し、前立腺肥大症は、前立腺の内腺(前立腺の内側の部分)肥大することによって、尿道が圧迫され排尿困難などの症状をきたす良性腫瘍です。

前立腺がんと同じく、前立腺肥大症も年齢が高くなるにつれて増えていきます。

もともと前立腺肥大症があり、その一部に前立腺がんが同時に発症してくる場合もしばしば見られます。
前立腺肥大症も増え始めるのは50歳を過ぎてからですが、中には40歳代から症状を認める場合もあります。日本人の55歳以上の男性の5人に1人に前立腺肥大の症状があることがわかっています。

前立腺肥大症は良性腫瘍で、悪性の病気ではありませんが、長期間にわたり尿が出にくい状態が続くと、膀胱の機能が低下し、残尿が増え、尿が出なくなったりすることがあるため注意が必要です。

さらに悪化した場合には腎臓にも影響を及ぼし、腎不全になることもあります。

具体的には次の7つがあげられます。

排尿後、まだ尿が残っている感じがする(残尿感)

トイレが近い(頻尿)

尿が途中で途切れる(尿線途絶)

急に、尿意をもよおし、もれそうで我慢できない(尿意切迫感)

尿の勢いが弱い(尿勢低下)

おなかに力を入れないと尿が出ない(腹圧排尿)

夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)

排尿障害の程度を問診します。国際前立腺症状スコア(I-PPS)という症状の程度を調べる質問票を使って、症状とその程度を点数化して評価します。7点以下を軽度、8点から19点を中程度、20点以上を重度としています。

尿検査、血液検査を行い、血尿の有無や腎臓の機能などもチェックします。

直腸診を行い、前立腺の大きさや硬さを診察します。このときに前立腺がんの有無もチェックします。

尿流量測定(ウロフロメトリー)を行います。当院ではフロースカイというトイレで排尿していただくだけで、一秒あたりの排尿量を測定し、グラフ化して最大の勢いや平均的な勢いを検査できます。そのあと超音波検査で残尿量も調べます。

経直腸的超音波検査では、肛門から専用の超音波プローブを挿入して、前立腺の大きさや内部の様子を観察します。前立腺がんの可能性があるかどうかも診察します。

前立腺肥大症の治療には主に、薬物療法と手術療法があります。
症状がひどくなければ、まず薬物療法を行います。それでも症状の改善が思うように得られない場合には、手術やその他の治療法を考えます。

薬の効果は症状が軽いほど高く、治療せずに放置して悪化すると、薬物療法では症状が改善されない場合もあります。 前立腺肥大症の薬物療法には、α1ブロッカー、抗男性ホルモン薬、漢方薬、植物製剤などがあります。

α1ブロッカー この薬の作用によって、自律神経の過剰な命令によって緊張している前立腺や尿道の筋肉が、弛緩してリラックスすることにより、排尿の症状が改善されます。
抗男性ホルモン剤 前立腺の肥大に影響する男性ホルモン(テストステロン)のはたらきを弱め、前立腺細胞の増殖をおさえ、前立腺を小さくするお薬です。
服用しはじめてから効果があらわれるまでに数か月と時間がかかり、服用を中止すると再び肥大してしまうという欠点があります。またPSA値を下げる作用があるので、前立腺がんの発見が遅れることがないよう注意が必要です。
漢方薬、植物製 症状を和らげるために使います。副作用が少ない反面、効き目もゆるやかです。α1ブロッカーとの併用でより効果が期待できます。
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