近年、もっとも増加している男性のがんとして、前立腺がんが注目されています。 日本でも2006年に前立腺がんと新たに診断された患者さんが年間約42,000人となり、胃がん、大腸がん、肺がんに次いで第4位と急速に増加してきています。
特に排尿に関する症状がある場合には、前立腺がんの発見される割合が上昇するので、排尿に関する症状がある場合には、40歳から定期的に検診を受けることをお勧めしています。
前立腺がんは、欧米諸国では男性がんの中で大変多いがんとして知られており、とくに黒人、白人に発症頻度が高く、アメリカでは男性がんの中で罹患率(病気にかかる比率)は1位、死亡率は肺がんに次いで2位ともっとも多い男性のがんです。近年、日本の前立腺がん患者数も急激に増加してきています。1975年に前立腺がんを発症した患者さんは2,000人程度でしたが、2000年には約23,000人、2006年には約42,000人と急速に増加しており、2020年には78,000人以上となり、肺がんに次いで罹患数の第2位になると予測されています。
また平成17年度の厚生労働省の調査では、男性がんの中で患者数はすでに第1位となっており、年齢別では50歳代前半では第7位、60歳代前半では第2位、60歳代後半以降では1位のがんです。
また前立腺がん死亡数も増え続けており、2009年の前立腺がんの死亡数は10,036人と増加しており、男性の部位別がん死亡率では、肺がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、食道がんに次いで第7位でした。死亡数は今後も増加し続け、2020年には2000年の約3倍になると予測されています。
日本において、前立腺がんが急激に増えている主な理由としては、
①食生活の欧米化(動物性脂肪の摂取の増加)
②日本人の高齢化(平均寿命が延びたことによる高齢者の増加)
③PSA検査の普及(早期がんの発見の増加)
の3つがあげられ、食生活には注意が必要です。
アメリカでは、前立腺がん罹患率は30年以上前から男性がんの中で最も高く、25年前より男性がん死亡原因の第2位であったため、社会問題になっていましたが、1980年代後半から普及した前立腺がん検診とその後の適切な治療の結果、1992年以降は死亡率が低下し始めたといわれています。
前立腺がんは男性が最も気をつけなければいけないがんの一つです。特に50歳代の男性からは気をつけなければいけません。 前立腺がん検診の対象年齢は、前立腺がんのリスクが高まる50歳以上が一般的ですが、前立腺がんの家族歴のある方や排尿に関する症状がある場合には、40歳から定期的に検診を受けることをお勧めしています。